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骸の冷暖房機器の酷使具合は半端ではない。 暑さにも寒さにも弱い…と言うか不快な思いは真っ平ごめんで、夏や冬は一日中かけっ放し。 春や秋でも少しでもちょうどいい気温から外れるとすぐにつけるので一年間酷使し続けている。 そんな彼(?)に限界がきたのが、丁度梅雨明けの蒸し暑い昼下がりだった。 備え付けのクーラーは一台だけ。 全ての部屋に冷気を満たす為、扉は全開。 設定温度は地球の事などまったく考えておらず、そのくせカーディガンを羽織るという贅沢さ。 冷たい風が布一枚越しに肌に届き、鼻歌すら出てきそうなご機嫌で雑誌を読んでいた。 と、突然順調に冷たい風を送り出していたクーラーが何の前触れも無く、ひゅうぅんと音を立てて動かなくなった。 「…?」 タイマー設定をしていたかと思い、リモコンで再びオンにする…が、電源が入らない。 「…え…」 骸の頭に嫌な予感がよぎる。 リモコンに衝撃を与え、電源を押すが、電子音さえ鳴らない。 「ちょ…っ」 立ち上がり、今度は至近距離で。 1LDKの小さい城で優雅な午後を満喫していたところに、突然の災い。 何をしても、クーラーはもううんともすんとも言わなくなった。 「………」 呆然とする間もなく、冷気の支配が無くなった部屋は瞬く間に沸き立つ熱気に包まれた。 「暑…っ」 カーディガンを脱ぎ捨て、窓を開くが風は無いも同然。 蒸した水蒸気は、途端に骸の水分と体温を奪っていく。 「…く…これだから夏というやつは…!」 暴言を一歩前で止めて、深く息を吐き出す。 ソファーに転がっていた携帯を見つけ、骸はリダイアルを押す。 大抵電話を手放さない電話の相手は、思ったとおり数コールで出た。 「…あ、正一くんですか?」 『骸さん。どうしましたか?』 にっこり。 ものすごくいい笑顔を浮かべる。 「一時間以内に工具を持って僕の家に来なさい。来れなければ堕とします」 反論を一切聞かず、骸はそのまま携帯を切った。 息を切らせぎりぎり一時間で、正一は骸の部屋を訪れた。 「ふふんギリギリですね」 「あ、あなっあなたって人は…!」 正一の饒舌に火がつく前に、骸は部屋にあがるよう促す。 「え、」 「ほら早く。見てほしいものがあるんです」 「…え、」 躊躇う。 骸の家に来るのは初めてではない。だがそれは同伴者が居ての事であって、実は一人で訪れるのは初めてだ。 男が一人で骸の家を訪れるなんて、いくら正一でも白蘭にばれたらどうなる事か。 「もう、何してるんですか?早く!」 少しも気が長くない骸が急かす。 彼女を怒らせても後々めんどくさい。 「…………」 突然迫られた二択。 「正一くん!!」 「はっはいぃ!」 迷う暇も与えられず、とりあえず正一は目の前の恐怖を回避する事にした。 以下、続きます |