ご飯を食べてなお、雲雀はぷりぷりと眉間に皺を寄せていた。
「雲雀くん?どうしたんですか?」
片付けを終えて雲雀の隣に座る。
雲雀の機嫌が悪いことなどしょっちゅうだが、あんなふうに怒鳴るところは初めて見た。
呆れなどではなく純粋な不安。
そっと手を伸ばせば、雲雀は目を伏せるだけで風の手を払いはしなかった。
「怒ってますか?」
「…おこってなんか、ない…」
らしくない小さな声でブツブツと呟く。
視線を上げれば、まだ風はリボンをのせている。
「……」
髪の毛の、結び目にあるリボンをしゅるりと解く。
「ねぇ、結んで」
「?はい…」
差し出され、風は丁寧に優しく雲雀の手首に結んでいく。
綺麗な蝶々結びを見て、雲雀はぽすんと風に倒れこんだ。
やはり優しく包まれた。
「…ひばりくん?」
「…貴方が、僕に貴方をくれるっていうのなら」
ぽつん、ぽつんと空気にとける声で言葉を紡ぐ。
「僕も、貴方に僕をあげる…」
じゃないと不公平でしょ。
付け足された言葉がなんだか可愛らしい。
腕の中の愛おしい存在を、風は優しく強く抱きしめた。

さすがに頭のリボンはとった。雲雀がとった。
風の服にあまり乱れはないが、雲雀はズボンを片足抜き去られ肌を露出して風と交わっている。
リビング、ソファーで風の上に座って腰を揺らめかせれば、びりびりとした刺激が背筋を走りぬけた。
「ぁ…あ…」
いつもの早さ、いつもの強さで擦られない故に雲雀の理性はまだ残っている。
だから腰の動きが止まらないのが恥ずかしくてしかたない。
きもちいい。でもあの快感には程遠い。
まるで自慰をしているみたいだ。
シャツに先端が擦れる。
熱い吐息を風の首筋にもらせば、頬にキスが返ってきた。
「もう、いいですか?」
こくんと大きく頷く。
「私も、そろそろ、限界でした」
そう言って、支えるだけだった手が腰から尻へと移動した。
く、と雲雀の喉が震える。
「ぁ…あ、ああっ!」
ずると熱いモノが胎内から抜けていき、また侵入する。
意識の八割がそちらに持っていかれているのに、尻に触れる手がむずがゆい。
「あ、ふ…ぅ、ん」
風の首に腕を回し、上半身を密着させる。
肌通し触れることはなかったが、お互いの心臓が早く打っているのがよくわかった。
普段雲雀と試合と言う形式で戦っても乱れることの無い呼吸と鼓動。
今乱れているのがなんだか恥ずかしくて、誇らしくて、嬉しい。
ぐちゅぐちゅという水音と抑えられない自分の声。時々漏れる風の声。
静かな部屋に反射して、自らの耳に届くのが嫌で自らも腰を振り理性を飛ばす。
「あっ、…んん、あ、ふぁ…っ」
「ひばり、…ひばり」
まだ後ろで達することができない雲雀の為に、風の手が雲雀の性器に絡む。
「ぃ、あっ」
ぬめりを借りて先端から絞るように擦られる。
急激に頂点が近付いていく。
「んぁ…ああ、あっ、ひ…」
噛み付くようなキスが降ってきた。
ぐり、と尿道に爪を立てられ、狭いナカに風の全部を突き入れられる。
「ん――――っ!!」
「…っ」
思わず肩に爪を立ててしまう。
身体を震わせて精液を吐き出し、かわりに胎内に新しい熱をもらった。
呼吸を奪われて、白い液体と共に酸素も欠乏していく。
舌同士の絡まりがとかれると、雲雀はまず大きく呼吸をした。
「はっ…ん、は…っ」
体重を支えることが出来ず、風に身体を預ける。
「大丈夫ですか、雲雀くん」
いつもは布団の上なので、この体勢は初めてだ。
疲れた。
(…けど…)
定まらぬ脳。本能だけが心に残る。
(あんなオクまでつかれるって、気持ちいい)
ハマってしまいそう。
また上半身をくっつければ、風の心音にいきついた。
心地いい。
熱いほどの体温、汗ばんだ肌。
手首見れば、真紅のリボン。
奪われる心地よさを知った。
ちゅう、と、風の頬へキスを一つ贈り、雲雀の意識は夢へと消えた。